タイトル「桃太郎と3匹の家来とクソジジイ」 ナレーション  むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。         おじいさんとおばあさんには桃太郎という名前の子どもがおりました。         この桃太郎は川で拾った桃から生まれてきた拾い子なのですが、すくすくと育ち         大きくなるとある日、オニを退治しにいくと言い出しました。         おじいさんとおばあさんは「お前の生きたいように生きなさい」と言い、きび団子を         持たせて快く送り出しました。         桃太郎がしばらく歩いていると、イヌに出くわしました。         イヌは桃太郎が持っているきび団子のニオイを嗅ぐと、きび団子と引き替えに家来に         なってやると言い、桃太郎もそれを了承しました。         その様子を見ていたサルが、自分にも同じ条件できび団子をくれと言ってきたので、         桃太郎はそれも了承しました。         サルはこのままでは自分が一番後輩の下っ端になってしまうと考え、近くにいたキジ         に話しかけ、同じように家来になるように勧めました。         こうして桃太郎の元には、イヌ・サル・キジの3匹が集まりました。         そして鬼ヶ島へ向かおうとしたときでした。 ゴンベイ    あれ? お前、タゴサクのところの桃太郎じゃねえか。         こんなところで畜生連れて何してんだよ? 桃太郎     あ、ゴンベイさん、こんにちは。         実は今から鬼ヶ島へ鬼退治に出かけようとしているんです。 ゴンベイ    はっ! 正気か?         お前みたいなケツの青いガキに鬼が倒せるわけねーだろ。         悪いことは言わん、やめとけ。 サル      桃太郎さん、なんですか、このジジイは? 桃太郎     近所に住んでいるじいさんだよ。 サル      超感じ悪いっすね。ほっといて行きましょうよ。 桃太郎     すいません、急いでるので失礼します。 ゴンベイ    おいおい! 桃太郎。         お前、本気で鬼ヶ島へ行くのか? 桃太郎     はい。 ゴンベイ    無駄死にするぞ! やめとけ! 桃太郎     でも町のみんなはオニに苦しめられているっていうし、オニがうばった         みんなの宝物を取り戻さないと… ゴンベイ    なんだお前、オニを倒して宝を手に入れて、そのおこぼれにあずかろうってのか?         考えがコスイな、お前。貧乏人の発想だな。 桃太郎     いえ、そんなつもりは… ゴンベイ    ふーむ…         おい、桃太郎、お前には足りない物がいくつもあるが、その中でも今一番大事なもの         が欠けておる。それが何だか分かるか? 桃太郎     分かりません。 ゴンベイ    それは「鬼ヶ島へ行ってオニを退治するために必要なノウハウを持った有能な経験者」         じゃ。 桃太郎     はあ。 ゴンベイ    幸いなことにその有能な経験者がここにおる。         さらに幸いなことに、その有能な経験者が一緒に鬼退治に付いていってやっても良い         と考えておる。まぁ多少「キモチ」的なものは欲しいところじゃがな。 桃太郎     あ、いえ、大丈夫です。         鬼ヶ島やオニの事については、本やヒアリングなどで色々調べてますし、攻略につい         てもワークショップやセミナーで情報交換してます。 ゴンベイ    はっ! そんな戯れ言が何の役に立つ!         世の中、現場での長年の経験と研ぎ澄まされた勘がものを言うんじゃよ!         そんななんの根拠も無い理論だけの頭でっかち童貞野郎では、足下をすくわれて命を         無駄に落とすだけじゃ! 桃太郎     いや、本当に大丈夫です。 ゴンベイ    うるさい! 年上に刃向かうのか!!         お前は素直に「はい、とても光栄です。どうぞよろしくお願いいたします」と言って         おけばいいんじゃ! 桃太郎     …… イヌ      桃太郎さん、もう放っておいて、先に行きましょうよ。 桃太郎     でもゴンベイさん、うちのじいさまの田んぼの地主さんだから、無碍にするとじいさ         まがいじめられるんだよ。 イヌ      じゃあどうするんです? 桃太郎     しょうがないから、付いてきてもらおう。         そのうち飽きて帰ってくれると思うし。 キジ      アッシはやめた方がいいと思いますがね〜         100害あって1利無しですよ。 桃太郎     まあ色々あるんだよ。         ゴンベイさん、じゃあお手数をおかけいたしますが、一緒に付いてきていただいてよ         ろしいでしょうか? ゴンベイ    しょうがないじゃろ。         ひよっこ一人で行ってむざむざ死なれでもしたら、村を預かるワシの管理責任にもな         りかねんからな。         念のため言っておくが、お宝を奪い返したときの扱いはワシが責任を持っていったん         全部管理するからな? 桃太郎     はい、分かりました。 ゴンベイ    じゃあ行くぞ。付いてこい。 桃太郎     あ、ゴンベイさん、そっちじゃないです。 ゴンベイ    ああ? 何言ってんだ。         鬼ヶ島と言えば、こっから西にある船場から向かうのが定石ってもんだろうが。         そんなことも知らないのか? 桃太郎     いや、今は北西側にある船場から行くルートがあるんです。 ゴンベイ    バカか! あっちは潮の流れがきつくて戻されちまうんだよ。 桃太郎     その潮の流れの間を比較的安全に進むルートが最近研究されたんです。         あと西にある船場よりも北西の船場の方が船も新しくて、従来の船よりも波の影響を         受けづらく、水の抵抗を受けにくい船型になってるんです。 ゴンベイ    あのな、こういうのは経験ってのがものを言うんだよ。それが全てなんだよ。         目新しい物に目が眩んで命を落とす若者を、ワシは今までに何人も見てきた。         ワシの言うことに従っておればいいんじゃ、命を落としたくなければな。         ほれ、行くぞ! ナレーション  こうして桃太郎達は、予定を変更して西にある船場から旧型の船に乗り、鬼ヶ島へ向         かって漕ぎ進みました。         船に乗っている間「重労働は若い者の務め」と言い、ゴンベイは鬼ヶ島につくまで         ずっと寝転がって桃太郎のきび団子をむさぼっていました。         そうして桃太郎達は鬼ヶ島へ到着しました。 (未完成) 桃太郎は鬼と会話。 交渉の末、平和的に鬼から奪った財宝を取り戻す。 また人間への干渉を最小限にすることを約束させる。 ところがゴンベイが調子に乗って鬼の子どもを不必要に痛めつける。 (未完成ここまで) 桃太郎     死ね!   ザク!ザク!ブシュー ゴンベイ    ぎゃあああ! イヌ      も、桃太郎さん… キジ      キエー、桃太郎さん、ジジイをめった斬りにした〜! 桃太郎     …この頃の年寄りはひどすぎる。         目を覆うものがある。オニよりも卑劣じゃないか。         歳をとってまで醜態をさらす哀れな俗物め。 サル      桃太郎、あんた、目覚めちまったな。正真正銘のオニだぜ。         でもオイラそういうの、嫌いじゃないぜ。 桃太郎     オレは今からこの島に腐った老人を集めて片っ端から殺していく。         イヌ・サル・キジ、オレに付いてきてくれるか? サル      モチロンさ キジ      おっけ〜 イヌ      御意 ナレーション  桃太郎達は町の中で傍若無人にのさばる老人を見つけては言葉巧みに鬼ヶ島へ連れて         行き、オニが飼っているペットのエサにしました。         こうして町の中には老害と呼ばれる人達が居なくなり、町はとても暮らしやすくなり         ました。         人は誰しも歳を取り、老いていきます。         「老いてなお盛ん、若い者にはまだまだ負けない」などと考えていると、言葉巧みに         あなたの虚栄心をくすぐる桃太郎が、目の前にやってくるかもしれませんよ。 おしまい